1.湯種パン・中種パンとは
パン作りの製法にはいくつかの種類があり、湯種パンや中種パンもその製法の名前からくる呼び名です。
湯種パンにしろ中種パンにしろ、分量の強力粉(※1)の一部を予め取り分けて種生地を作り、2回に分けて生地をこね上げる製法によって作られるパンであることは同じですが、大きな違いは、種生地の作り方や割合にあります。
パン作りでは、種生地の小麦粉の量や水分の比率の違いにより、製法が異なります。
詳しくは後述しますが、まずは、パン作りの製法にはどのようなものがあるのか整理しましょう。
※1)分量の強力粉とは
パンを作る時に用意する強力粉(小麦粉)の総量の事です。種生地は、その一部を予め取り分けて別に捏ねてからそのあと一緒に混ぜて焼成します。
2.パン製法の種類
パン作りの工程は一般に、⑴生地の捏ね上げ(ミキシング) ⑵一次発酵 ⑶分割 ⑷ベンチタイム ⑸成形 ⑹二次発酵 ⑺焼成 になりますが、製法によりこの工程が若干異なっていきます。
1)湯種法とは
湯種パンを作る製法を湯種法と言いますが、特徴的なのは、熱湯を加えて種生地を作る事です。
通常パン作りは粉をこねる水分は水又はぬるま湯で行いますが、湯種法では種生地を熱湯で捏ねていきます。
またこねた種生地は、冷蔵庫で12時間以上寝かせます(低温発酵)。
2)中種法とは
中種パンを作る製法を中種法と言いますが、種生地は熱湯ではなく水(又はぬるま湯)で捏ねていきます。
中種法では、中種にする強力粉の分量によって50%、70%、100%中種パンと呼び名が変わります。
お勧めなのは、70%中種法です。
熟成が進むので、ふっくら、しっとりした焼き上がりで、食パン・菓子パン・リッチなパンに向いています。
3)ポーリッシュ法とは
ポーリッシュ法も種生地を作り作業工程を2回に分けて行う製法です。
発酵種(※2)の小麦粉量に対して100%の水で種生地を作ります。
さっくりとした、ボリューム感のある焼き上がりになり、リーンなパン、ハード系パンに向いています。
※2)発酵種については後述します。
中種法とポーリッシュ法の違い
中種パンとの違いは、種にする小麦粉の分量と、それに加える水の分量比です。
中種パンでは、種生地にする小麦粉の量を分量の50%、又は70%又は100%にします。そして、その小麦粉に対して50~70%の水を加えて種生地にします。
一方ポーリッシュ法では、種生地にする小麦粉の量は分量の20~40%で、その小麦粉に対して100%から2倍の水を加えます。
中種法では種生地の方が分量は多く、ポーリッシュ法では種生地は少ないのです。
4)ストレート法とは
生地の捏ね上げを一回で行う製法です。
一般的なレシピでの作り方はこのストレート法で、材料のミキシングから焼成までを一気に行います。
ふっくらとした仕上がりが特徴ですが、翌日には固くなると言われているので、焼き立てパンを食べたい時が最も美味しくいただけます。
食パン・菓子パン・リーンなパンに向いています。
5)オーバーナイト法とは
種生地はつくらないのですが、作業工程を2回に分けて行う製法で、長時間低温発酵とも言います。
捏ね上げた生地を発酵(一次発酵)させてから12~48時間冷蔵発酵させます。
作業工程を分けたい人に向いています。発酵時間が長いため過発酵になりやすくイースト臭が出やすくなります。
6)発酵種とは
発酵種とは水と小麦粉(穀物)を混ぜて発酵させたもの(イースト入り)を言い、中種法でもイーストを入れますので発酵種という場合もあります。
パン製法のまとめ
- 湯種法:種生地を熱湯で捏ね、12時間以上低温発酵させます。
- 中種法:種生地は水で捏ねますが、分量から取り分ける小麦粉の量によって50%、70%、100%中種法とがあり、その小麦粉に対して50~70%の水を加えます。
- ポーリッシュ法:発酵種の小麦粉量(分量の20~40%)に対して100%又は2倍の水で種生地を作ります。
- オーバーナイト法:種生地はつくらず、捏ね上げた生地を一次発酵させた後に12~48時間低温発酵させます(長時間低温発酵)。