目次
1.コマツナ(小松菜)の特徴
アブラナ科の野菜で、アクが少なく、お浸し、漬物、炒め物など幅広く料理ができます。
近年は改良により草勢が良く、耐寒性・耐暑性、耐病性に優れ、一年を通して安定した栽培ができるようになりました。
冷涼な気候を好むコマツナは、春まきも秋播きもでき、真夏の種まきを除いて栽培を楽しめます。
通常アブラナ科はトウ立ちさせないように栽培するのがコツですが、コマツナはトウ立ち菜として美味しく頂ける野菜の一つでもあります。
2.コマツナの種子の種類
コマツナはその特徴により以外に品種が多く、葉の形により、有袴型・中間型・無袴型とに分類されます。
1)有袴型
葉身が茎の付け根(葉柄)まで発達しています。安藤早生小松菜、新黒水菜など。
2)無袴型
葉身が茎の付け根(葉柄)がくっきり区別されたしゃもじ型をしたものです。城南小松菜、みずきなどがあります。
3)中間型
葉身が茎の付け根(葉柄)にわずかについているものです。夏楽天、楽天、笑天、極楽天、浜美2号、わかみ、なかまち、はっけいがあります。
ここでは家庭菜園向きで、栽培しやすい品種をご紹介します。
4)病気・暑さに強い品種なら
⑴いなむら
萎黄病に耐病性で、耐湿性が強い品種です。
耐暑性、耐寒性にすぐれ周年栽培が可能で、特に高温期に能力を発揮します。
⑵きよすみ
萎黄病、白さび病に耐病性で春~初夏まき栽培で最も能力を発揮する品種です。
生育穏やかな中生品種で※1)在圃性にすぐれ、葉柄はよくしなり折れにくいのも特徴です。
※在圃性(ざいほせい)とは 畑や菜園(=圃)で種苗などを植えた際、品質などに問題がなく収穫し続ける事ができる性質。
⑶わかみ(中間型)
萎黄病、白さび病耐病性で耐暑性、耐寒性にすぐれています。
ハカマ(袴)はなく葉柄部の色は濃くて太く折れにくいと言われています。周年栽培が可能です。
5)高温期・低温期に強いのは
⑴つなしま
高温期でも葉枚数が多く、ボリューム満点に育ちます。
収穫適期が長いですが在圃性にすぐれ、極立性なので作業性にすぐれています。
⑵浜美2号(中間型)
萎黄病に強く、耐寒性、低温伸長性にすぐれています。周年栽培が可能ですが、晩抽性もあり、とくに冬~春まきで能力を発揮します。
⑶はまつづき
低温伸長性にすぐれ厳寒期でもずる剥けが発生しにくい品種です。晩抽性・耐寒性にすぐれています。
⑷はっけい
耐暑性、耐寒性、耐乾燥性にすぐれています。高温期栽培でも葉が伸びすぎず、カッピング症状が出にくい。生育は穏やかな中生品種でボリューム抜群。
※カッピング症状については次でご紹介しています。
3.栽培の注意点
1)酷暑期の種まき
酷暑期は、発芽不良や生育不良の原因になりますので、種まきは控えた方が良いでしょう。
2)トウ立ちしたら食べられない?
コマツナは一定の低温に当たることで花芽分化し、アブラナ科特有の黄色い花を咲かせます。
トウ立ちすると葉が固くなる、味が落ちると言われますが、ハクサイとコマツナは、トウ立ちしてもなおつぼみを美味しく頂く事ができます。
あえてトウ立ちさせてみるのも良いと思いますが、花が咲く前に摘む事をお勧めします。
3)カッピング症状
カッピング症状とは葉脈の成長に対して葉身の成長が追い付かず、葉先が曲がってカップのような形になる事です。
原因は、気温が高く、乾燥した状態に置かれると発症すると言われています。
4)連作障害
コマツナは連作障害が出にくい部類ではありますが、同じ場所で栽培する場合には、コマツナだけでなくアブラナ科の他の野菜も1年以上期間を空ける事をお勧めします。
4.栽培スケジュール
1)種まきの時期と発芽率
- 発芽適温:20~30℃前後
- 発芽日数:3~4日
- 生育適温:5~35℃
- 栽培期間:春:30~40日 冬:80~100
- 発芽 率:85%(以上)
2)栽培カレンダー
⑴土づくり
畑の場合:元肥多めに、石灰必ず!
種まきの2週間くらい前までには、石灰を施し、よく耕すようにします。コマツナ栽培では、1㎡あたり完熟堆肥3.0㎏、苦土石灰100g、化成肥料150gを施します。
畝の全体に元肥を撒いてよく耕し、平畝を立てます。
コマツナでは畝幅70㎝位、高さ10㎝位が適切です。条間を15㎝とってすじまきします。
※1)一般的には作業しやすいのは、畝の高さは高さ20~30㎝、畝間20~30cm、畝幅50㎝以上の様です。
※2)畑には、1㎡あたり完熟堆肥2.0㎏、苦土石灰100g、化成肥料70gを施すのが一般的です。
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⑵種まき
種溝を作ります。深さ1㎝位、条間は15㎝位です。
発芽率が良いので種は間引きの手間を減らせるように1㎝間隔で条播きします。
覆土は5㎜位でたっぷりお水を与えます。
⑶間引き・追肥
本葉1~2枚で1回目の間引きをし、株間を3~4㎝位にします。
本葉3~4枚で株間5~6㎝に、3回目に最終株間を10㎝位にし、この時追肥を行います。
春栽培は栽培期間が短いので、以後は基本的に不要です。
冬栽培では元肥を多めにし、1か月ごとに追肥をします。
⑷収穫方法
株本を握って引き抜きます。
根が残ると連作障害の原因になりますので、丁寧に抜きます。
5.病害虫
コマツナはアブラナ科ですが、栽培期間が比較的短いので病気にはなりにくいといわれています、。
ただ、梅雨時、天候が不安定な時には、白さび病、炭疽病、モザイク病は発生しやすくなります。
原因は過湿によるものなので、葉の密集を避けて適度に間引きを行います。
- カブラハバチ
- コナガ
- アオムシ:アブラナ科全般
- アブラムシ:植物全般
- ヨトウムシ:トマトやナスなど多くの植物
- キスジノミハムシ
- うどん粉病:植物全般
- 白さび病
- 炭疽病
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