目次
はじめに
水耕栽培は、液肥のみで植物の栽培を行う手法です。
土耕栽培と異なり、土を一切使用しないので、病害虫の被害に遭いにくく室内栽培に適しています。
LEDライト付きの高価な既製品の栽培キットを使うとスタートが楽ですが、自作で栽培セットを作ることもできますので、費用を抑えたい方は自作すると良いでしょう。
下の写真は、直径約3㎝の育苗ポットが8個セットできる容器を自作したものです。
百均で購入した蓋つきの容器にポットの大きさに合わせた穴をあけ、遮光の為にリメイクシートを貼りました。
自作容器は作る過程も楽しみの一つではないかと思います。

シュンギクとミズナを栽培
今回は、一つの容器に6~8株をセット出来る移植型多育成容器の作り方をご紹介いたします。
1.移植型容器とは
一般に水耕栽培では、種まきはスポンジ培地を用いて行い、発芽、初根をしたら速やかに栽培ポットに移し、水耕栽培容器にセットをして収穫まで定期的に液肥を交換していきます。
発芽後間もない苗は根が小さい為、大きな容器で栽培するよりも浅い容器で栽培した方が管理はし易いので、幼苗では浅型を、一定の大きさになったら深型容器に移植していく方法をとります。
このように成長段階に合わせて容器の深さを変える為、移植型容器と言われます。

浅い容器(手前)と深い容器(奥)があると便利 蓋を使いまわして。
初めから大きい容器で栽培をするのであれば、水切れに注意しましょう。
2.多育成容器と個別育成容器
ナスやそれ以上の野菜の栽培は、栄養をたっぷり取らなければならないため、大きな容器での栽培が必要になります。
管理の面では一つの容器に一株もしくは2株までの栽培が望ましいでしょう。
リーフレタス、ミズナ、シュンギク、小松菜などの半陰生植物やラディッシュなどの小ぶりの野菜では、一つの容器に幾つかの株をセットできる方が効率よく管理ができます。
液肥交換を1~2週間に1回と定期的に交換するので、その手間を考慮して作ります。
3.準備するもの
- 種まきトレー(牛乳パック2個 猫除けマット スポンジ)
- 蓋つき容器(浅型 深型)
- カッター マジック
- 育苗ポット(通販で購入:お勧めは3㎝・5㎝・10㎝)
- リメイクシート(容器が光を通す場合には藻対策として使用)
1)種まきトレーの作り方
種はスポンジ培地にまきますが、このスポンジを置くために専用のトレーを作ります。
牛乳パックを2個使用し、一つは引き出しトレー用に一つはケースを作ります。
種を乾燥させない為、スポンジは常に水で湿らせた状態を保たなければなりませんので、牛乳パックトレーは、水を入れられるように上だけカットをします。
飲み口分部は切れ込みやカットはせず、折り目を利用して重ねた状態でホチキスで止めます。
トレーの大きさに合わせて猫除けマットをカットし、中に敷きます。
猫除けマットのように、高さのあるものを使います。
中敷きを使わずにトレーにスポンジを直置きすると、根が隣のスポンジにまで伸びてしまい、取り出す作業の際に根を痛めてしまいます。
この中敷きをすることで、根が下に伸びますので、育苗ポットに移植をする際に特に根を痛めることがありません。
2)種まきの方法(スポンジ培地)
1)2㎝角に切ったスポンジの中央に切れ込みを入れて水で湿らせ、種を1~2粒切れ込みに植えます。

切れ込みの両端に種を置きます
植えたらトレーに乗せて、スポンジの底面が水に浸るようにお水を入れます。
2)水耕栽培容器本体の作り方
容器は百均の蓋つきのもので、浅型と深型を用意します。蓋に栽培ポットがセットできるように加工します。
グレーの容器は浅型、ネイビーの容器は深型として使用しています。
ポットの大きさは大ポット(直径10㎝内径8㎝) 中ポット(直径5㎝内径4.8㎝) 小ポット(内径3㎝)とありますが、今回ご紹介は中ポット、小ポットようです。
⑴作り方のポイント
中ポットと小ポットは兼用できるように穴の大きさを作ると使いまわしができ便利です。
※上記の容器では大ポットは3個くらいしかセットできませんので、ほぼ専用に作ることなります。
⑵ポットに合わせて穴をあける
①蓋の裏側から中ポットを使ってマジックでマーキングします。
②マーキングした中に小ポットを置き、小ポットよりも内側をカッターで切るように手で円を描きます。
ここがポイント
穴が大きすぎると中ポットは収まりますが、小ポットは穴から落ちてしまいます。
逆に小さすぎると小ポットは収まりますが、中ポットは穴にはまっても、液肥が浸からなくなってしまします。
③手で円を描いた分部をカッターで切り抜きます。
④適当な場所に空気穴を作ります。
4.半陰生植物とお勧めの栽培ポット
1)半陰生植物、陽生植物、陰生植物とは
植物の分類はいくつかありますが、この内光の強さ(光照度)によって分類されるのが陽生植物、半陰生植物、陰生植物という分類です。
- 陽生植物:太陽の光を好み直射日光或いは一日中日の当たる環境で成長
- 陰生植物:日光が苦手で日陰で十分成長
- 半陰性植物:カーテン越しの柔らかい光又は半日程の日当たりで成長
このような分類にあっても植物によって光の限界点はそれぞれ異なりますので、同じ半陰生植物でも成長は若干異なります。
このような限界点の上限を『光飽和点』と言い、下限を『光補償点』と言います。
- 光飽和点とは:これ以上の光を与えても成長速度の効率が下がる限界点
- 光補償点とは:これ以上弱すぎるともはや成長出来ないという限界点

光飽和点による分類
調べたい野菜の名前をカタカナで入力してください。
光照度による野菜の分類が分かります。カタカナで野菜の名まえをご入力下さい。野菜の名前 | 光照度 | 光補償点 (ルクス) | 光飽和点 (ルクス) |
---|---|---|---|
(芽)キャベツ | 陽 生 | 2000 | 40000 |
イチゴ | 半陰生 | 2000 | 25000 |
イネ | 陽 生 | 1000 | 50000 |
エダマメ | 陽 生 | 25000 | |
エンドウ | 半陰生 | 2000 | 40000 |
オクラ | 陽 生 | 15000 | 50000 |
カブ | 陽 生 | 55000 | |
カボチャ | 陽 生 | 1500 | 45000 |
カリフラワー | 陽 生 | ||
キュウリ | 陽 生 | 5000 | 55000 |
ゴーヤ | 陽 生 | ||
ゴボウ | 陽 生 | ||
コマツナ | 半陰生 | 70000~85000 | |
サツマイモ | 陽 生 | 30000 | |
サトイモ | 半陰生 | 80000 | |
サンチュ | 陽 生 | ||
シソ | 陰 生 | ||
ジャガイモ | 半陰生 | ||
シュンギク 春菊 | 半陰生 | ||
ショウガ | 半陰生 | 1500 | 30000 |
ミョウガ | 陰生 | 20000 | |
スイカ | 陽 生 | 3500 | 80000 |
セロリ | 陽 生 | 1500~2000 | 45000 |
ソラマメ | 陽 生 | 2000~3000 | 30000~40000 |
ダイコン | 陽 生 | ||
タカナ・カラシナ | 半陰生 | ||
タマネギ | 陽 生 | ||
チンゲンサイ | 半陰生 | 85000 | |
トウガラシ🌶 | 陽 生 | 1500 | 30000 |
トウガン | 陽 生 | ||
トウモロコシ | 陽 生 | 1800 | 100000 |
トマト🍅 | 陽 生 | 3000 | 70000 |
ナス🍆 | 陽 生 | 2000 | 40000 |
ニラ | 陰 生 | ||
ニンジン | 陽 生 | 2500 | 40000 |
ニンニク | 半陰生 | ||
ネギ | 半陰生 | 2500 | 25000 |
ハクサイ | 陽 生 | 2000 | 40000 |
パセリ | 半陰生 | ||
ピーマン | 陽 生 | 1500 | 35000 |
ブロッコリー🥦 | 陽 生 | ||
ホウレンソウ | 半陰生 | 1000~2000 | 25000 |
ミズナ | 半陰生 | ||
ミツバ | 陰 生 | 1000 | 30000 |
メロン | 陽 生 | 3000 | 55000 |
ラディッシュ | 陽 生 | ||
リーフレタス・サニーレタス | 半陰生 | 1500 | 40000 |
日照による分類とは | 老化苗とは |
2)5㎝の中ポット
水菜、ラディッシュ、リーフレタス、小松菜や小カブなど幅広く使えて便利です。
10個入りと30個入りがありますが、栽培が楽しくなると30個でも足りなくなるくらいなので、割安な30個をはじめから購入した方がお得です。
10個入りはホワイトもありますが、水耕栽培では光の当たるところで藻が発生しますので、白容器は藻が生えて見栄えが良くありませんでした。
藻が気になる方は黒がお勧めです。
発芽したスポンジ培地は、根がポットのスリットから出るようにセットします。
ハイドロボールを下に3~4個入れるとスポンジが安定します。

5㎝ポットは扱いが便利

ラディッシュ

サニーレタス 2株
【家庭菜園】秋の種まき失敗知らず ~サニーレタスが発色しない?~

小カブ
3)3㎝ポット
低価格ながらスポンジがセットされていますし、30個入りなのでお得なのでお勧めです。
ミズナ、シュンギク、ナバナ、三つ葉などが適しています。
リーフレタスやチンゲンサイなども栽培はできますが、株を大きく育てたい場合にはこのポットではやや小さいかと思いました。

シュンギク
【家庭菜園】秋の種まき失敗知らず ~シュンギクの種まきのコツ~

12月6日 ミズナ

12月30日 ナバナ

3㎝ポットでは小さすぎたラディッシュ
4)10 cm 大ポット
大きな株を栽培するときに使用します。
ミニ大根の紅くるり、ソラマメ、ミニニンジンなどを栽培しています。
今回紹介した容器へのセットでは、3ポットくらいしか出来ないので、株を増やそうとすると場所がとられてしまうかもしれません。
それが苦でない方に向いています。
DSC_0134

紅くるりの収穫

大型容器 ミニトマト ナスの苗
今回は以上になります。
最後まで御覧くださりありがとうございました。