目次
はじめに
ミズナの栽培を水耕栽培で行いました。
手軽で栽培しやすく、収穫期も早いので家庭で栽培すればいつでも新鮮な味覚を楽しめます。
私は東側の窓辺に水耕栽培容器を置いているだけですが、とてもよく育ちましたので種まきから収穫までをご紹介いたします。
1.ミズナの特徴と性質
1)ミズナは地方により呼び名が違う
関東ではミズナ、京都では京菜と呼ばれているのはご存知の方も多いと思いますが、葉の形からヒイラギナ(柊菜)と呼ばれたり、細い葉柄が千本(沢山)伸びることからセンスジナ(千筋菜)ということもあるそうです。
シャキシャキした歯ざわりは、サラダやお浸しとしてさっぱりといただけますし、冬には鍋に入れても煮崩れしないので食感を楽しむことができます。
クセのないお野菜なので多くの方に好まれる野菜です。
2)ミズナの性質
- 発芽適温:20~30℃前後
- 発芽日数:3~5日
- 生育適温:15~25℃
- 栽培日数:春30~40日 秋80日前後
- 栽培期間:春3~7月 秋9~翌3月
- 発芽 率:85%(以上)
名前(発芽率%) | 種の光反応 | 発芽適温℃ 発芽日数 | 光照度 | 光周性 | 生育適温 (℃) | 栽培期間 |
---|---|---|---|---|---|---|
(芽)キャベツ | 好光性 | 15~30 3~5日 | 陽 生 | 長日 | 15~20 | 苗 90日 |
イチゴ | 20℃前後 15~20日 | 半陰生 | 短日 | 15~20 | ||
イネ | 30~35 5~7日 | 陽 生 | 短日 | 30~35 | ||
エダマメ | 無 | 25~30 4~6日 | 陽 生 | 28~28 | 70~80日 | |
エンドウ | 半陰生 | 低温 | ||||
オクラ | ― | 18~25 3~5日 | 陽 生 | 25~30 | 70日 | |
カブ | 好光性 | 15~20 2~7日 | 半陰生 | 長日 | 15~20 | 小・中40~60日 大60~90日 |
カボチャ | 嫌光性 | 20~25 3~5日 | 陽 生 | 20~25 | 4月まき~7月頃 | |
カリフラワー | 無 | 15~30 2~3日 | 陽 生 | 長日 | 18~20 | 30~35日 |
キュウリ | 嫌光性 | 25~30 4~7日 | 陽 生 | 18~25 | 60日程度 | |
ゴーヤ | 嫌光性 | 25~30 7~10日 | 陽 生 | 20~30 | 4月まき 真夏から9月 |
|
ゴボウ | 好光性 | 20~25 10~14日 | 陽 生 | 20~25 | 春150日 | |
コマツナ(85) | 無 | 20~30 3~4日 | 半陰生 | 長日 | 20~25 | 春30~4日 秋50~80日 |
サツマイモ | 栄養繁殖 | 25~35 40~45日 | 陽 生 | 22~30 | 110~150日 | |
サトイモ | 栄養繁殖 | 25~35 30日程度 | 半陰生 | 25~30 | 4月植付~11月 | |
サンチュ | 好光性 | 15~20 2~4日 | 陽 生 | 15~20 | 60日~ | |
シソ | 好光性 | 20~30 4~7日 | 陰 生 | 短日 | 20~30 | 80~90日 |
ジャガイモ | 嫌光性 | 栄養生殖 15~30日 | 半陰生 | 15~24 | 2月まき~ 6月収穫 |
|
シュンギク(55) | 好光性 | 10~20 5~7日 | 半陰生 | 長日 | 15~20 | 40~50日 |
ショウガ | 栄養生殖 | 25~30 30~60日 | 半陰生 | 20~30 | 4月植付~10月 | |
スイカ | 嫌光性 | 25~30 30日程度 | 陽 生 | 25~30 | 大玉45~50日 小玉35~40日 |
|
セロリ | 好光性 | 15~20 7~10日 | 陽 生 | 15~20 | 種まき150~180日 |
|
ソラマメ | 無 | 20 6~7日 | 陽 生 | 16~20 | 10月まき~ 翌4~6月収穫 |
|
ダイコン | 嫌光性 | 15~35 2~4日 | 陽 生 | 長日 | 15~20 | 秋60~90日 夏50~60日 |
タカナ カラシナ | 無 | 15~20 3~5日 | 半陰生 | 長日 | 15~20 | 60~90日 |
タマネギ | 嫌光性 | 18 7日程度 | 陽 生 | 15~20 | 9月まき~翌6月 | |
チンゲンサイ(85) | 無 | 15~35 3~4日 | 半陰生 | 長日 | 15~20 | 30日程度 |
トウガラシ🌶 | 嫌光性 | 30~35 5~7日 | 陽 生 | 25~30 | 2月まき~ 6~11月収穫 |
|
トウガン | 嫌光性 | 35 10日程度 | 陽 生 | 25~30 | ||
トウモロコシ | 無 | 25~30 7~10日 | 陽 生 | 中日 | 20~30 | 90日 |
トマト🍅 | 嫌光性 | 15~27 3~6日 | 陽 生 | 中世植物 | 21~26 | 2か月程度 |
ナス🍆 | 嫌光性 | 20~25 3~5日 | 陽 生 | 中性植物 | 22~30 | 180日~ 植付後2か月 |
ニラ | 嫌光性 | 10~14日 | 陰 生 | 90日 | ||
ニンジン | 好光性 | 15~25 7~14日 | 陽 生 | 16~20 | 100~120日 早生80~100日 |
|
ニンニク | 栄養繁殖 | 25~27 植付から1か月 | 半陰生 | 28~20 | 10月植付~翌5月 | |
ネギ | 嫌光性 | 15~30 7~10日 | 半陰生 | 15~20 | 50~60日 | |
ハクサイ | 無 | 20 3~5日 | 陽 生 | 長日 | 15~20 | 60日 |
パセリ | 好光性 | 15~20 14~20日 | 半陰生 | 15~20 | 70日 | |
ピーマン | 嫌光性 | 30~35 5~7日 | 陽 生 | 25~30 | 3月まき5月定植 9~10月収穫 |
|
ブロッコリー🥦 | 好光性 | 25 4~6日 | 陽 生 | 長日 | 15~20 | 早生種120日~ 晩生種145日~ |
ホウレンソウ(75%) | 無 | 15~20 5~7日 | 半陰生 | 長日 | 15~20 | 30~60日 |
ミズナ(85) | 無 | 20~30 3~5日 | 半陰生 | 長日 | 15~25 | 25日~ |
ミツバ(65) | 好光性 | 20 4~7日 | 陰 生 | 15~20 | 30日 | |
メロン | 嫌光性 | 30~35 3~4日 | 陽 生 | 25~30 | 3月まき~ 45~55日 |
|
ラディッシュ | 嫌光性 | ・15~25 2~4日 | 陽 生 | 長日 | 15~25 | 30日前後 |
リーフレタス | 好光性 | 15~20 2~4日 | 半陰生 | 長日 | 15~20 | 60日 |
レタス リーフレタス | 好光性 | 15~20 2~4日 | 半陰生 | 長日 | 15~20 | 苗50~60日 |
⑴種の性質
種子には発芽の為に光を必要する好光性種子と、光を必要としない嫌光性種子、関係しない中性種子があります。
この内、ミズナは光に関係しない中性種子です。
もともと発芽率が優れていますので、収穫したい量を考慮して種を撒いても良いでしょう。
⑵水菜は半陰生植物
ミズナは冷涼な気候を好む半陰生植物です。
一日中強い日差しが当たる場所で栽培するよりも、半日程度の日差しや木漏れ日などの下で効率良く成長することができますので、場所を選ばず栽培できる野菜の一つです。
私は、東南側の窓辺において半日程度の日差しの下で栽培していますが、室内栽培ながらよく育ったのではないかと思っています。

12月6日 室内栽培
上の写真は播種後60日くらいで、水耕栽培用のポット(直径3㎝)に2株あります。
使用した水耕栽培の容器は、記事後半で作り方をご紹介しています。
2.ミズナ栽培のおすすめポイント
1)お勧めは秋栽培
⑴小株採りと大株採り

参考図
水菜の収穫の目安は草丈15~30㎝の小株採りか、30㎝以上で収穫する大株採りに分かれます。
小株採りでは栽培日数は30~40日、大株採りなら80日くらいです。
⑵収穫時期
一般にミズナは春まきと秋まきの両方出来ますが、収穫時期の目安は、春播きなら夏場の気温が高くなる7月ころまでに、秋播きなら翌年の春先までが収穫目安です。
水菜は夏の暑さに弱いため、3月ころから種を撒いて熱くなる前、30~40日で収穫します。そのため株を大きくすることができず、小株採りになります。
一方、秋播きでは9月ころに種まきをし、10月頃に小株採りをしても勿論良いのですが、水菜は寒さに強いので、ここで収穫しないで栽培を続け、11月下旬をに大株採りをします。
⑶トウ立ちに注意

ミズナのトウ立ち。アブラナ科特有の黄色い花
ミズナの生育適温は15~25度と涼しい気候を好みます。そのため適温以上では軟弱徒長します。
他方適温以下では伸長が鈍り、より低温に接する事で花芽ができ、その後の高温でトウ立ちしやすくなります。
一般に、秋播きなら翌年の3月ころまでが収穫時期と言われていますが、関東でも年によって12月から1月に雪が降ることもあり、そのような時は急激にトウ立ちが進みます。
トウ立ちすると葉は厚く硬くなり、栄養が花に行くため味が落ちるといわれていますので栽培は終了になりますが、調理法を工夫して食することも勿論できます。
トウ立ちについての詳しい記事は光周性と限界暗期 ~花芽形成とトウ立ち・老化苗~でご紹介しています。
3.ミズナの栽培スケジュール
1)畑づくり
⑴土耕栽培
種まきの2週間前までに石灰を施し、よく耕します。
全体に元肥をまいてよく耕し、幅90㎝、高さ10㎝ほどの畝を立てます。
⑵水耕栽培容器と使い方
蓋とセットになっている容器を用意します。
蓋に穴を開けて栽培用のポットに発芽苗を移植し、蓋にセットをし、成長に合わせて容器の深さを変えていきます。
グレーの容器は浅型、ネイビーの容器は深型として使用しています。※作成中にて後に8個の穴を開けて使用しています。
幼苗の内は浅型(グレー)容器で、ある程度大きくなったら深型(ネイビー)容器を使用します。
栽培ポットは 大(直径10㎝内径8㎝) 中(直径5.4㎝内径4.8㎝) 小(内径3㎝)とあります。
今回ご紹介する容器は中ポットと小ポットが兼用でできるようにしたものです。
中ポットなら6穴くらい、小ポットだけなら8穴くらい作ることができます。
8㎝用はポットでは、この蓋では3個くらいしかできませんので、8㎝専用になります。
作り方とポイント
⑴蓋の裏側から中ポットを使ってマジックでマーキングします。
⑵マーキングした中に小ポットを置き、小ポットよりも内側をカッターで切るように手で円を描きます。
ここがポイント
穴が大きすぎると中ポットは収まりますが、小ポットは穴から落ちてしまいます。
逆に小さすぎると小ポットは収まりますが、中ポットは穴にはまっても、液肥が浸からなくなってしまします。
⑶手で円を描いた分部をカッターで切り抜きます。
⑷適当な場所に空気穴を作ります。
どのような野菜がどのポットで栽培をするとよいのかは、5.お勧めの栽培ポットでご紹介しています。
2)種まき

種まきと収穫の時期
⑴土耕栽培の場合
畝の表面を均し、直線方向に条間20㎝で深さ1㎝のまき溝をつけます。種を条まきし、覆土をかけて軽く鎮圧します。
⑵水耕栽培の場合
トレーで管理するなら
スポンジ培地に切れ込みを入れて、十分に水を含ませてから種を2~3粒置きます。

切れ込みの両端に種を置きます
スポンジが乾燥しないように適宜、霧吹き等で水を与えながら、一晩は暗所において、翌日は明るい場所で管理します。

コストコのチョコレート容器は蓋つきで便利
育苗ポットにスポンジを予めセット
スポンジが乾燥しないように注意しましょう。
今回ミズナ栽培に使用したポットの大きさは直径3㎝でしたが、よく育ちました。
リーフレタスでは、3㎝では小さすぎて株が大きくなりませんので、この場合は少なくとも5㎝以上の物をお勧めします。

黒いスポンジがミズナ
水耕栽培の種まきの方法はこちらの記事をご参照ください。
【水耕栽培】スポンジ種まきから容器への移植まで~育苗ポットの利便性~
3)間引きと追肥
間引きは2回行います。
本葉が1~2枚の頃、1度目の間引きをします。
徒長したものや双葉が欠けているものなどを取り除き、葉が重ならないようにします。

本葉2~3枚の頃
本葉4~5枚の頃に最終株間が10~12㎝くらいになるようにします。
この間引きのあとに追肥を施し、株元に土寄せをします。
水耕栽培で植物育成LEDを使用して栽培
東南側の窓辺では、自然光のみで栽培しました。
下の画像は、西側の窓にLEDライトを併用して9時間/日照射して栽培していました。
東南側で栽培した方が成長が良かったように思いましたが、そのことについては、またいずれ記事にしたいと思います。

植物育成用LEDで栽培 播種後2週間くらい

播種後1か月
4)収穫
草丈20~25㎝くらいになったら間引きを兼ねて大きなものから収穫します。
2か月以上栽培を継続すると大株採りとして収穫できます。

12月6日 東南側の窓辺で栽培:播種後60日くらい
4.病害虫被害
水菜はアブラナ科なので、害虫被害に遭いやすい植物です。
苦手な方は対策を。
- カブラハバチ
- コナガ:カブに限らず発生
- アオムシ:アブラナ科全般
- アブラムシ:植物全般
- ヨトウムシ:トマトやナスなど多くの植物
- キスジノミハムシ
- うどん粉病:植物全般
5お勧めの栽培ポット
1)5㎝の中ポット
水菜、ラディッシュ、リーフレタス、小松菜や小カブなど幅広く使えて便利です。
10個入りと30個入りがありますが、栽培が楽しくなると30個でも足りなくなるくらいなので、割安な30個をはじめから購入した方がお得です。
10個入りはホワイトもありますが、水耕栽培では光の当たるところで藻が発生しますので、白容器は藻が生えて見栄えが良くありませんでした。
気になる方は黒がお勧めです。
2)3㎝ポット
低価格ながらスポンジがセットされていますし、30個入りなのでとても便利です。
ミズナ、シュンギク、三つ葉などが適しています。
リーフレタスやチンゲンサイなども栽培はできますが、株を大きく育てたい場合にはこのポットではやや小さいかと思いました。
3)10 cm 大ポット
ミニ大根の紅くるり、ソラマメ、ミニニンジンなどを栽培しています。
容器へのセットが3ポットくらいしか出来ないので、栽培を増やそうとすると場所がとられるので、それが苦でない方に向いています。
今回は以上になります。
最後まで御覧くださりありがとうございました。