目次
はじめに
サニーレタスの栽培では、時に赤い色が発色しない、ということがあります。
これがなぜかというと、光合成によって合成されるアントシアニンという色素が不足する為です。
このアントシアニンがきちんと合成されるようにするためにはどのような栽培管理が望ましいのか記事にまとめましたので、お役に立てれば幸いです。
1.サニーレタスの特徴
1)サニーレタスはリーフレタスと同じ
結球するレタスは玉レタスと言いますが、結球しないレタスをリーフレタスと言い、この内赤くなるものをサニーレタスと言います。
また、リーフレタスよりも小さいものにベビーレタスがあり、こちらも色々な品種があって、赤くなるものとならない緑色の種類があります。
2)リーフレタスの色と形状

綺麗な濃い赤色
サニーレタスの色と形状は、葉の先端が濃い赤紫色で、内側が緑色のフリル状をしていますので見た目にとても華やかです。
一方、一般にリーフレタスと呼ばれているのは緑色ですが、こちらも明るい綺麗な色をしています。

緑色のリーフレタス
色の違いは、サニーレタスに含まれる『アントシアニン』という色素によるものですが、綺麗に発色させる為にはいくつかのコツがあり、光の確保と適正な肥料が重要になります。
2.栽培のお勧めポイント
1)室内栽培におすすめ
リーフレタスの栽培はさほど手間がかかりませんので、室内やベランで栽培し、必要な時に必要な分だけ葉をかき取ってサラダにでき、無駄がありません。
特に室内栽培では、病害虫被害がないので清潔ですし、温度の管理ができるので種まきをずらしながら長く栽培すると、かなりの長い期間で収穫を楽しめます。
また、サニーレタスとリーフレタスの両方を同じ器で栽培しても、コントラストがよく窓辺や食卓のアクセントにもなります。
私は、初めての栽培こそ向いているお野菜ではないかと思います。
2)上手に育てると
サニー(リーフ)レタスは上手に栽培すると発色が良く、葉脈もしっかりとした葉が内側から外側に広がります。
十分な光の元で葉は縦にも横にも大きく成長し、苗が小さい内から赤い色になります。

10月に苗をホムセンで購入。水耕栽培で。

11月6日 サニーレタスの苗栽培
上記の2枚の写真はホームセンターで購入したものなので小さい苗のうちから赤い綺麗な色をしていました。
苗がしっかりしていたので、成長も順調でした。
3)栽培に失敗すると
どの野菜でもそうですが、栽培の条件がそろわないと大きな株やおいしそうな見た目には育ちません。
特に育苗期間中の栽培条件が大事になります。
⑴徒長苗になる
光が足りないと葉は縦にばかり伸びてしまい徒長します。
下の写真はリーフレタスですが、光が足りない為に徒長してしまいました。
このようなときはとにかく日当たりの良い場所に移します。

光が足らなかったリーフレタス
徒長についてはこちらの記事もご参照ください。
⑵綺麗に発色しない
また、サニーレタスに含まれるアントシアニンは、もともとは黄色系の色素が光合成によって変化して発色したものです。
そのため、十分な光が当たらない環境では、徒長ばかりではなく発色もしなくなります。
下の写真は、種から自室で栽培していたサニーレタスです。
小さい苗の時は発色があまり見られませんでしたが、成長と共に少しずつ色が着き始めました。

日照不足で発色不良のサニーレタス

室内の日光が当たる場所ではちゃんと発色

同じ場所で栽培しても発色に違いが…

成長と共に色が付きました。1月4日
これは、条件が日照だけでなく、気温も関係しているからのようです。
⑶トウ立ちする
レタスは、高温(30~35度以上)でトウ立ち(花芽形成)しますので、春まきでは7月後半までに収穫をします。

8月になるとぐんぐん伸びてくるリーフレタス
トウ立ちすると葉が固くなり、味があちるので早めの収穫を心がけましょう。
またレタスの種は高温では発芽しないので、春巻きなら7月前までに、秋播きなら9月になってからまくのが良いでしょう。
3.栽培前に知っておく事
1)栽培条件
⑴発芽率:90%以上
リーフレタスはもともと発芽率がとても良い植物です。
ですが、発芽適温を守らないと発芽しませんので、種まきの時期を外さないようにするのが絶対条件になります。
出来るだけ夏場の種まきは避けましょう。
⑵種の性質:好光性
リーフレタスは好光性種子の為、種を撒いたらたっぷりの水を与えて一晩は暗い場所に置き、翌日になったら明るい場所に移動します。
⑶発芽温度(適温)
サニーレタスの発芽適温は15~20℃です。
発芽温度は気温ではなく『地温』の事を言い、温度は植物により異なります。
⑷生育温度(適温)
生育適温は18~23℃です。
生育温度は光合成に関係し、特に徒長するかしないかという大事な要素になります。
私の経験上、秋栽培も9~10月頃は、強い直射日光の当たる場所よりもレースのカーテン越しにしてあげたほうが成長は良かったです。
窓辺は思う以上に温度が上がります。
その為夏場の窓辺の栽培は注意が必要です。
ところが冬場はこれが功を奏します。
どういう事かと言うと、植物の性質で、光周性によると『昼間の高温は夜の低温を打ち消す』といって、日中に高温に当たっていれば夜間の低温はチャラになります。
その為、室内の窓辺では、12月でも日中の気温20度以上になる事もあるので、リーフレタスなどの半陰生植物は、12月を過ぎても葉が瑞々しく茂ることができるのですね。
徒長しやすい温度は25℃以上と言われていますので、室内ならエアコンを利用するなどして気温の調整をします。
夏場の栽培
6月下旬になると25℃を超えるようになります。
7月に入ると平均して24℃~27℃になり、時に30℃を超える日もみられるようになりますので、トウ立ちに気をつけます。
2)綺麗に発色をさせる為には?
⑴光照度
第一条件は光照度です。
サニーレタスは半陰生植物なので、半日程度の光、もしくはカーテン越しの柔らかい光で順調に成長します。
これは、光合成の仕組みが光の強さと温度に関係する為で、効率よく光合成を行うために光の強さにも上下限があるのです。
光合成が可能な最も弱い光の強さが光補償点で、最も強い光の強さを光飽和点といいます。
- 光補償点とは:これ以下の光では成長が止まってしまうという堺
- 光飽和点とは:これ以上光を強くしても光合成を効率よく行うことはできないという堺
リーフレタス・サニーレタスでは光補償点は1500ルクス、光飽和点は40000ルクスになります。
『光照度計』という無料アプリをダウンロードすると、スマホで部屋の明かりの程度を調べる事ができます。

11月 9時頃の東南が側の窓辺の明るさ
以下に分かる範囲で載せましたので、カタカナで調べたい野菜の名前を入力してください。
光照度による野菜の分類が分かります。カタカナで野菜の名まえをご入力下さい。野菜の名前 | 光照度 | 光補償点 (ルクス) | 光飽和点 (ルクス) |
---|---|---|---|
(芽)キャベツ | 陽 生 | 2000 | 40000 |
イチゴ | 半陰生 | 2000 | 25000 |
イネ | 陽 生 | 1000 | 50000 |
エダマメ | 陽 生 | 25000 | |
エンドウ | 半陰生 | 2000 | 40000 |
オクラ | 陽 生 | 15000 | 50000 |
カブ | 陽 生 | 55000 | |
カボチャ | 陽 生 | 1500 | 45000 |
カリフラワー | 陽 生 | ||
キュウリ | 陽 生 | 5000 | 55000 |
ゴーヤ | 陽 生 | ||
ゴボウ | 陽 生 | ||
コマツナ | 半陰生 | 70000~85000 | |
サツマイモ | 陽 生 | 30000 | |
サトイモ | 半陰生 | 80000 | |
サンチュ | 陽 生 | ||
シソ | 陰 生 | ||
ジャガイモ | 半陰生 | ||
シュンギク 春菊 | 半陰生 | ||
ショウガ | 半陰生 | 1500 | 30000 |
ミョウガ | 陰生 | 20000 | |
スイカ | 陽 生 | 3500 | 80000 |
セロリ | 陽 生 | 1500~2000 | 45000 |
ソラマメ | 陽 生 | 2000~3000 | 30000~40000 |
ダイコン | 陽 生 | ||
タカナ・カラシナ | 半陰生 | ||
タマネギ | 陽 生 | ||
チンゲンサイ | 半陰生 | 85000 | |
トウガラシ🌶 | 陽 生 | 1500 | 30000 |
トウガン | 陽 生 | ||
トウモロコシ | 陽 生 | 1800 | 100000 |
トマト🍅 | 陽 生 | 3000 | 70000 |
ナス🍆 | 陽 生 | 2000 | 40000 |
ニラ | 陰 生 | ||
ニンジン | 陽 生 | 2500 | 40000 |
ニンニク | 半陰生 | ||
ネギ | 半陰生 | 2500 | 25000 |
ハクサイ | 陽 生 | 2000 | 40000 |
パセリ | 半陰生 | ||
ピーマン | 陽 生 | 1500 | 35000 |
ブロッコリー🥦 | 陽 生 | ||
ホウレンソウ | 半陰生 | 1000~2000 | 25000 |
ミズナ | 半陰生 | ||
ミツバ | 陰 生 | 1000 | 30000 |
メロン | 陽 生 | 3000 | 55000 |
ラディッシュ | 陽 生 | ||
リーフレタス・サニーレタス | 半陰生 | 1500 | 40000 |
日照による分類とは | 老化苗とは |
⑵温度
温度が高いと発色しにくく、低温で、乾燥傾向になると発色してきます。
⑶肥料
肥料・水・温度が充分であれば生育旺盛に成長します。
サニーレタスはストレスによって葉が赤くなるともいわれています。
なので肥料過多より、根傷みを起こしたもの、チッソ不足、低温など不良条件下で育ったものの方が赤色が濃くなるそうです。
なので着色のよいものを収穫するには、高温期の栽培を避け、生育後半になったら肥料が切れるような肥培管理が適当でしょう。
3.栽培スケジュール

★が多いほど難しくなります
1)土づくり
用意する物 ※1㎡当たらりの量
- 苦土石灰…100g
- 堆肥………3kg
- 化成肥料…50g
- 種まきの2週間くらい前に全面に散布し、よく耕します。
2)種まき
春まきと秋まきがあります。
一般に春は虫が多いので、初めての方には秋まきの方が向いていると言われています。
ただ、水耕栽培ではほとんど虫は来ないので、栽培の手間かかかりません。
条まき又はポット撒きします。覆土は軽くします。種が流れ出ないように静かに、お水を与えます。
3)間引き・生育管理
間引きは2回します。
- 1回目:本葉2~3枚の頃
- 2回目:本葉5~6枚の頃、1本立とします。
追肥は灌水を兼ねて10日に1回の割合で液肥を施します。
生育期後半には窒素不足になるようにすると発色が良くなります。
4)収穫
中心部の茎が伸びてきて、カブが盛り上がったら株ごと収穫するか、下の方の葉から一枚一枚摘み、何回かに分けて収穫します。