目次
1.秋の種まきは難しい?
9月ごろになるとホームセンターでは、秋栽培の苗が出回ります。
秋栽培の代表と言えばいちご、ほうれん草、春菊 を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
他にもコマツナや小カブ、ミズナ、正月菜、ハクサイ、ダイコン、ソラマメ、レタスなどなど沢山あります。
一方で種まきが難しいもの、発芽率がそもそも低いものもありますので種まきに失敗する事もあるかと思います。
そんなときには、芽出しまきなどを行って、発芽を揃えて種を撒いてみるのが良いかも知れません。

11月3日:芽出しまきを開始。水に浸しただけ

11月6日 発芽の良かったもの
記事内 芽出しまきの方法で詳細と続きをご紹介しています。
2.秋栽培の注意点
秋栽培での注意点は、種を撒くタイミング(発芽率)と夜の長さ(光周性)です。
秋は一気に気温が下がりますが、朝と夜の寒暖差が激しい季節でもあります。
その為栽培スケジュール、特に種まきはスケジュール通り行いたいものです。
また室内栽培での蛍光灯の光や街灯など、たとえ弱い灯りでも、ある種の植物にとっては日照条件に影響を与え収穫不良になる場合があります。
これは、人間と同じように植物もまた、夜を必要とする生物だからです(生物の光周性)。
3.初心者には苗の栽培がお勧め
秋まき栽培は害虫が少ない分、初心者には秋栽培の方が適していると言われていますが、種を撒いて栽培するよりは苗を購入する方が良いかもしれません。
何故なら一部の植物では発芽率が低い為、第一段階である発芽作業で失敗してしまう事も多いからです。
秋は気温の差が激しく、最初の発芽作業がずれ込むとその後の栽培スケジュールに影響し、育苗、開花、結実というそれぞれの段階で不具合が生じ収穫量が低下してしまいます。
特に発芽作業で失敗しやすいのは、ホウレンソウや春菊かもしれません。
これらは元々発芽率が低い品種なので、発芽をさせるのがやや難しいのです。
4.発芽率と発芽不良の違い
1)発芽率とは
通常、種の袋の裏面には栽培方法などの必要な情報が記載されています。
発芽適温や生育適温、栽培カレンダー、発芽率、消費期限などです。
『発芽率』は植物により異なり、半陰性植物という同じ属性でも、リーフレタスは90%以上なのに対し、ほうれん草では75%、春菊では50%以上と低い割合になります。
この発芽率は播種した種に対して発芽する本数を表しているので、10粒の種を撒くなら、ラディッシュでは9粒(以上)で発芽を見込めますが、春菊では5個(以上)は発芽するであろう、という事になります。
種まきの際には、収穫したい量を考え、発芽率から種まきの個数を考えると無駄がありません。
2)種の休眠と休眠打破
⑴一時休眠と二次休眠
発芽率の低さによって発芽が困難な場合と、発芽不良によって発芽しないという事象は明確に区別されています。
通常、種は成熟するに連れ、自然に休眠する一時休眠という状態に入り、普通の条件では発芽しないようになっています。
一方、発芽不良は種が不利な条件に置かれた時にそれを耐える為に発芽が抑制される現象で、これを二次休眠と言います。
二次休眠をする事が知られているのは、レタスやホウレンソウ、ごぼうなど数種の野菜です。
レタスの種が気温25℃以上では発芽しないのはこの二次休眠という性質を持つからです。
⑵休眠打破と種の性質
種が休眠をやめる事を『休眠打破』と言います。
春になると多くの植物が発芽します。
一見気温が温かくなる事で芽が出るという風に思うかもしれませんが、種は一定期間の低温にさらされる事で休眠から目覚めます。
目覚めた種にとって不可欠なのが、『水・温度・酸素』で、この3要素はすべての植物で共通しています(発芽の三要素)。
発芽に光を必要とする場合がありますが、これは植物により光を嫌うものもあるため、三要素には含まれません。
このような種子の性質は2種類あり、発芽に光を必要とする『好光性種子』と、光を必要としない『嫌光性種子』では異なる発芽作業をします。
『好光性種子』では、種まき(播種)は覆土を軽くして光が入るよう、一方の嫌光性種子では覆土をしっかりとして光を遮ります。
この段階では種が水切れをしないように、十分注意します。
⑶休眠打破処理
休眠打破の方法には以下の3つがあります。
①溶液を使うもの:ダイコン、レタス、ゴボウ、シュンギク、ナス、シソ、
②5℃~10℃の低温に一定期間保つもの:ダイコン、レタス、シソ、タデ類、
⓷60℃で2~3日通風乾燥するもの:ホウレンソウ、らっかせいなど
ただ、一般家庭で行いやすいのは、②の低温での処理になります。
⑷芽出しまきの方法
夏場に発芽しにくい種の処理(芽出し撒き)
サニーレタスやホウレンソウなど夏場に発芽しにくいものや、発芽をそろえたいたい時に行います。
- 種を1晩水に漬ける。※一晩以上つけると発芽率が下がると言われています。
- 種を布やペーパーの上に出し水切りをして包む。
- 2をビニールや容器に入れて5~10度の冷蔵庫内で2~3日置く。
- 初根(2㎜程度)を確認したら培地や湿った土に撒く。
初めての栽培で種まきに失敗しないためには、発芽率90%以上の品種から始め、発芽適温を守るのが良いでしょう。
スポンジ移植へのコツ
手順1)卵のパック等に種を小分けにして水に浸す
今回は水に漬けっぱなしで行いました。乾燥しないように注意出来れば水は少な目の方が良いでしょう。
水が多すぎると徒長の原因になります。

11月3日 水に浸しただけ
手順2)初根したら深く植え過ぎない
初根は早いと1日で確認できます。遅くならない内に培地などに移植しましょう。
この時期も絶対に乾燥させないようにします。

11月6日:播種後3日目

11月6日:播種後3日目スポンジ移植
手順3)発芽の遅いものは手助け

11月10日:播種後7日目 移植後4日目
発芽の遅いものは少しスポンジの中を覗いて、深いところにあるものは丁寧に指で出してあげます。

11月12日:播種後9日目 移植後6日目

11月12日 発芽していないが根がある
11月でしたが順調に発芽できた理由には、①容器に蓋をして窓辺の暖かい場所に置けたこと、②植物育成ライトによって温度が保てた事があります。
ライトの下は思う以上に温かいので成功できたと思います。
発芽適温が整う環境であれば、芽出しはうまく行くと思います。
⑸使用したトレーの紹介
今回卵のパックと、コストコのチョコレートの空いた容器を使用しました。

11月3日:芽出しまきを開始。水に浸しただけ
スポンジに移植した時点で蓋をしました。
どちらも扱いやすく今年一番のお気に入りです。

コストコのチョコレート容器
終わりに
最後までお付き合いくださりありがとうございました。
現在も栽培中でご紹介しきれていないものも多々あります。また近い内にまとめ記事もご紹介しますのでよろしくお願いいたします。