
家庭菜園で人気の野菜の一つに、はつか大根があります。そのフォルムの愛くるしさは群を抜いていると言ってよいでしょう。
また人気の秘訣は、その彩は勿論ですが、長期に渡って栽培でき、短期間で収穫できるその手軽さにあるのではないでしょうか。
ですが、思ったように丸くならない、実が割れてしまうなど初心者の入り口と謳われる割には門は狭く、何度も挑戦を重ねてきました。
今回、はつか大根を丸くする為に何をしなければならなかったか、という事を確認しながら栽培してみましたのでその経過をご紹介いたします。
目次
1はつか大根の栽培スケジュール
2丸くならないのはどんな時?

⑴種まきが浅い時
播く際の深さが足りない、覆土が浅すぎる、または水をかけた時に土が流れてしまう事も要因となります。種をまく際には深さは1.5㎝程度、覆土は1㎝程度にしましょう。
発芽後芽が長く伸びてしまう場合には土寄せをします。土が少ない場合には足しておきます。
⑵間引きが不十分な時
最終的に株間は6~7㎝になるように間引きをしますが、間引くタイミングが遅くなるともう丸くはなりません。
発芽が揃った時点(1回目)で混雑している処は先を見越して間引きをします。もう少し様子を見て…と言っていたら手遅れです。
間引きをするタイミングに自信がない時は、一つのカップに一粒の種を入れて栽培します。
⑶土寄せが不十分な時
間引きを行った後には土寄せをします。苗が倒れないようにしますが、土で根元が圧迫(刺激)され丸くなる事を促す作用があります。
土に塊があったり、固い場合には形が歪むことがありますので、予め良く耕しておきます。
⑷発芽後に徒長してしまったとき(日照不足)
徒長する主な原因が「光」「水分」「栄養」にある事は、以前の記事にありますので、ご興味あればそちらもご参照下さい。
⑸気温が高すぎる時(30℃以上)
はつか大根の生育適温は15~20℃です。具体的には「やや涼しい~快適」と感じられる温度にあたります。種まき時期後半になる場合には収穫日の予定を立てて逆算して種まきを実施します。
⑹実が割れてしまう時
『裂根』です。収穫遅れによる場合、土壌中の水分変化が原因になりますが、収穫遅れによる育ちすぎがほとんどの様です。
収穫は実が2㎝位を目安に、早めに行うのが良いでしょう。
⑺害虫が発生した時
春まきではアブラナ科は虫がつきやすいので、種まきをしたら防虫ネットなどをかけるようにします。
⑻連作障害がある時
連作障害とは同じ野菜を毎年同じ場所に植える事で発症する病気の現象です、詳しくはこちらの記事をご参照下さい。
3プランター栽培での実際の記録
今回のこの観察の前提として、種まき直前に吸水処理した種と吸水処理していない種とで発芽状況の比較を観察した記事を「初めての種まき 発芽の仕組みと徒長・挿し木(穂)の関係~」まとめています。ご興味あればそちらの記事ものぞいてみて下さい。結果は、吸水処理したものは発芽不良が見られ、吸水処理していない種では発芽は良好でした。
これを踏まえた上で、発芽以降の観察になります。
成功例はこちら。
条件
⑴環境について
- 方法:プランター・ベランダ栽培
- 期間:5月7日播種~最長40日間
- 日照:西南~西向き(12~16時)
- 気温:朝晩19℃~日中平均25~30℃
- 天候:概ね良好 雨=期間中約10~14日前後
- 収穫予定日:6月18日頃(40日)
⑵番号の意味について
ここでは、丸い実を収穫する為に、間引きと土寄せに着目して観察をしています。そのために以下の区画に分けて番号を付けました。
黄色のテープは百均で購入した土を使用し、白いテープはホームセンターで購入した土を使用した事を意味します。
百均の土の方が発芽は良かったようですが、実は、その後の栽培で土寄せをするときに誤って土を混ぜてしまいましたので、テープの色は以後考慮していません。


一つのプランターを上下に区分して区画に番号を付けました。上部の①②⑤⑥は吸水処理をしておらず、下部➂④⑦⑧では8時間の吸水処理を施しています。
- 番号①【間引き 十分】 播種から株間を開け間引きの必要がない
- 番号➁【間引き不十分】発芽後間引き1回だけ若しくは株間不十分
- 番号➂【間引き 十分】播種から株間を開け間引きの必要がない
- 番号④【間引き 十分】播種から株間を開け間引きの必要がない
- 番号⑤【間引き 十分】発芽後間引きを2回以上行った
- 番号⓺【間引き不十分】発芽後より一切間引きをしない若しくはタイミングを外して間引きをす
- 番号⑦【間引き 十分】:播種後1回の間引きで株間が十分とれた
- 番号➇【間引き不十分】:間引きをしたが株間が不十分
⑶肥料について
肥料は発芽後より双方に同量の液肥を2回与えています。
経過について
⑴1回目の間引き(本葉2枚の頃)
あまり間引きはしませんでした。

5月25日

⑵2回目の間引き(本葉3~4枚の頃)
6月1日 根元は赤くなっていました。ただ最も葉が大きく育っているものが根が白かったのが意外でした。




成長の差はあまり変わりありませんでした。
⑶丸みを感じたもの

6月14日 唯一丸みを帯びて育ったもの
吸水処理をした種で、1回間引きを行い株間はそこそこ取れていたものです。
⑷収穫

6月17日 収穫



6月17日 黄色テープの区画のもの
白テープの区画の物は6月20日に収穫しました。

6月18日

6月20日 丸くならなかったもの

6月20日 丸みを帯びた物
土壌栽培と水耕栽培での比較について
水耕栽培でラディッシュが丸くなった事はありませんので、やはり土壌栽培が最も良いのかもしれません。
記事を更新 光が十分だとこんなにも違う?!
4成長の結果考察
⑴種の吸水状態について
播種の際に種が水を多く含むか含まないかと言う事が発芽と育苗ではかなり重要な要素になってくるのだと思いました。
吸水した種は発芽後の成長でもずっと株が小さく、吸水していない種は葉が大きく成長していました。
このことは、株間を十分にとるか取らないかより大事なようです。
種まき直後に水やりをした後は、最低でも発根がある3~4日間(土の中なので見えません)は、決して水を与えないようにし、発芽後も一度目の間引きをしてその根の状態から推察して水を与えるのが良い様です。
⑵間引きについて
条まきの場合、多く播いて発芽直後に間引くのが一般的ですが、プランターなど面積が小さい場合には、最初から株間を十分とれるように播いた方が良いのかもしれません。
タイミングを見誤った間引きの影響について
最近の種は発芽率がとても良いですし、やはりのびのびした環境が好ましいのは生物全てに言えるようですね。間引きが不十分だと丸くなりませんでした。
5考察まとめ
- 【種の吸水処理】早く芽が出る様ですが、その後の成長は不良気味で、葉が大きくなったのは吸水処理をしていないものでした。
- 【間引き】株間をきちんと取った物は丸みを帯びたので、間引きはしっかりする事をお勧めします。
- 【プランター栽培と水耕栽培】水耕栽培で丸みを帯びた事がないので、やはり土壌栽培の方が良い様です
- 【日照】南西側の午後の強い日差しは植物にとっては過酷な環境の様です。すぐに干からびてしまいますので水やりは注意が必要です。
ラディッシュを丸くする事はなかなか大変でしたが、それでも丸みを帯びてくれたものもありましたので、自分としてはまずまずの経過だったと思います。
みなさんはうまくできたでしょうか?
私はまた挑戦していきたいと思います。最後までありがとうございました。