栽培失敗?!トウ立ちとは?紫蘇の光周性と限界暗期

紫蘇が5月初旬にトウ立ち?

4月下旬に購入した紫蘇の苗が、あろう事か5月初旬には見事にトウ立ちしていて、結局今回は葉の収穫は出来ませんでした

本来なら葉の収穫を終えた9月頃に花が咲き花穂として、それから穂紫蘇(紫蘇の実)の時期を迎えるのですが、一体何があったと言うのでしょう。

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トウ(薹)立ちと花芽分化

トウ立ちと言うと、収穫期を終えて苗が花を咲かせ栽培終了というイメージでしたが、今回様相が違ったのは、まだ収穫時期を迎えていない筈の若い苗があっと言い間にトウ立ちをしてしまったという事です。

一体これはどういう事なのか、あまりにも早すぎるトウ立ちが不思議で仕方がなく、調べずにはいられませんでした。

1.トウ立ちとは

トウ立ちの「トウ(薹)」は花茎のことを指し、『トウが立つ』とは、蕾が出てきたり、花茎(花を咲かせる為の茎)が伸びて花を咲かせる事を言います。

花を咲かせない葉菜類や根菜類が開花する事をトウ立ちと言いますが、ひと口にトウ立ちすると言っても、必ずしも同じ経路をたどるわけではないようです。

温度や日長の影響をどのように受けるか、また窒素の比率などいくつかの要素が関係し、異なる経路をたどりますが、中でも日長が花成時期を決める主要な要因である事は良く知られています。

そもそも植物にとってのトウ立ちの意義とはどのようなものなのでしょう。

2.栄養成長と生殖成長の転換点(花芽分化)

植物は成長の過程には、栄養成長と生殖成長とがあります。

栄養成長とは 植物は低温期(冬)を過ごす間は花芽を形成しないように遺伝子が働いています。この期間が栄養成長と呼ばれる時期で、発芽後の葉や茎などの栄養器官だけを分化・形成しています。

生殖成長とは 温かくなり条件がそろうと生殖器官を分化・形成し、開花・結実という一連の過程を経ます。これを生殖成長と言います。

花芽分化(形成)とは 栄養成長から生殖成長への転換点が花芽分化であり、成長点に花芽が出来、発育してトウ立ちし、開花をします。一旦花芽分化か起ると新たな葉が出来なくなるため、葉を食する野菜は収穫が出来なくなっていくのです。

光周性と限界暗期

光周性とは 生物の営みは昼間(明期)と夜間(暗期)では異なる現象を示します。これを光周性と言います。

花を咲かせる為には日長が主要な要因(※注1)であり、植物がたどる経路は長日植物(長日条件)と短日植物(短日条件)と暗期の影響を受けない中性植物の三通りになります。※注1:ここで言う『日長』とは昼間の(日照)時間が重要という意味ではなく、一日の明期(昼間の長さ)と暗期(夜の長さ)の総称の意味で用いています。

これらを見分ける為には『限界暗期』を知る必要があります。

限界暗期とは 花芽の形成に必要な連続した一定の暗期の長さ の事を言います。

暗期が限界暗期より長くなると花芽を形成する植物を『短日植物』と言い、限界暗期よりも短くなると花芽形成をするのが『長日植物』という訳です。

重要なのは、日照時間ではなくこの限界暗期であり、限界暗期以上の暗期がなければ、長日植物でも花芽分化はしません。このような連続した暗期の具体的な長さは、多くの短日植物で約9時間以上と言われています。

また暗期の長さに依存しない植物を中性植物と言います。

このように昼の長さ(明期)と夜の長さ(暗期)の変化に応じて反応する生物が示す現象の事を光周性と言います。

光周性と限界暗期

分類長日植物(長日条件)短日植物(短日条件)中性植物(栄養条件)
代表的な植物アブラナ・ダイコン・コムギ・レタスアサガオ・コスモス・イネ・キク・オナモミ・シソエンドウ・トウモロコシ・トマト・ナス
開花の時期冬至後から夏にかけて開花真夏から冬にかけて開花体内に一定の窒素量が生成
暗期の長さ限界暗期より短くなると花芽形成する(日照が長い)限界暗期より長くなると花芽形成する(日照は短い)依存しない
ポイント重要なのは連続した暗期の長さであり、限界暗期以上の暗期がなければ花芽形成はしない。

トウ立ちと温度

この様な日長条件が花芽分化の主要な要因ですが、温度によってトウ立ちするものがあります。高温ではレタスになりますが、一定時間の低温にさらされる事で花芽分化する植物は以下のように分類されています。

花芽分化の条件花芽分化と各条件の関係代表的な植物
1日長1‐⑴長日条件
→長日植物
日照時間が長いと花芽分化(トウ立ち)する自然界では冬至から夏にかけて花芽がつく=日が長くなるラディッシュ ほうれん草 ラッキョウ 
ニラ シュンギク
1‐⑵短日条件
→短日植物
日照時間が短いと花芽分化(トウ立ち)する自然界では夏至kらから冬にかけて花芽がつく=日が短くなるシソ サトイモ サツマイモ
2気温2‐⑴低温
①【種子春化型】
種まき時から一定期間低温にさらされて花芽分化する
エンドウ そらまめコマツナチンゲン菜 ハクサイ ミズナ ダイコン カブ
2‐⑴低温
②【緑植物春化型】
一定の大きさになってから低温にさらされて花芽分化する
ブロッコリー キャベツ カリフラワー  セロリ ニンジン ネギ  ゴボウ イチゴ ニンニク
2‐⑵高温高温によって花芽分化するものレタス
3栄養3‐⑴中日条件
=中日植物

トウ立ちと収穫

生育初期にトウ立ちした野菜は、葉菜類では葉が硬くなり、結球野菜ではうまく丸まらなくなります。また大根などの根菜類では根が太らず、すが入るなど収穫が出来なくなるのです。速やかに撤収するのが良いでしょう。

他方でトウ立ちしたものを食するのが、菜の花やフキノトウ、ブロッコリー、カリフラワーなどです。

今回の課題であった紫蘇のトウ立ちは、日長(光周性)で見るところの紫蘇が短日植物であり、限界暗期より暗期が長くなる(夜が長い)と花芽を形成するので、環境から考察するのであれば

私の実家の庭があまりにも暗過ぎて花芽を形成したのでしょう。

後日わかりましたが、苗を店頭で購入する場合店の照明時間より短くなると秋になったと勘違いして花芽を形成するようです。

シソの明期は14時間以上は必要だそうですので、4~5月に苗を購入する場合には街灯や家の灯りが漏れるような窓の近くにおいてあげるとよいでしょう。

ただ、紫蘇は元々トウ立ちした状態を頂く植物?なので、早すぎるトウ立ちで問題になるのは、大葉の収穫が出来ないという事になると思いますが、結局今回は撤収する事にしました。

皆さんも春先のトウ立ちつまり、日長や気温、特に低温には十分ご注意下さいね。

紫蘇の栽培スケジュールでは、ペットボトル栽培もご紹介していますので、併せてご覧頂ければ幸いです。

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