前回なすの葉がしおれるという事を記事に書きましたが、今回は葉の異常全般にについてまとめました。
葉が丸まったり、立ったような状態になるのはどのような場合なのでしょうか。
目次
1 なすの正常な葉の状態と異常な状態
通常なすは、楕円形の大きな葉っぱを互い違いに生やし、葉脈は濃い紫色をしています。6~10月頃になると葉の脇に紫色をした花を下向きに咲かせます。

ところが生育過程で何らかの不具合が生じると、葉が異常になります。
異常とは ⑴葉が丸まる ⑵葉が立ってしまう ⑶葉が黒っぽくなる ⑷葉がしおれる ⑸葉が黄色くなる ⑸斑点が出来る ⑹株ごと枯れる ⑺カビが発生する などです。
家庭菜園ではうまく育たない事もしいばしばあり、葉の状態がそれを如実に表現していますので原因を知り予防と対策をすることが必要です。ですが原因は一つではなく、いくつもの要素が重なりあって症状が現れる場合もあります。こまめに観察しながら対処していかなければなりません。
ところが茄子の病気は様々で、ここで詳しく説明するより専門家がまとめられた優れたサイトが豊富にありますので、そちらをご参照頂き、ここでは初心者が陥りがちな初歩的な内容に焦点を絞り、私の茄子を照らし合わせながら事細かに観察していきたいと思います。
2 家庭菜園で陥る異常な症状と原因・対策
原因別に対策をすべきではありますが、最も重要なのは、苗の時期の取り扱い方であり、防寒をし、移植をする際に根を大事に扱ってあげる事は当然にに注意すべき事です。植物も犬や猫と同じように、寒さや痛みを訴えているのですね。

⑴葉が丸まる
考えられる事は ①根傷み ②水分不足 ➂栄養過多 などによる脱水状態です。
①根傷み ポットから苗を取り出し移植する際に直接的に傷を付ける事があります。根鉢は軽くほぐす程度にして優しく取り扱います。
②水分不足 葉の蒸散によって失われた水分量より根からの吸収が少ないと水分不足に陥り、根を傷めてしまい結果的に水分吸収が出来なくなります。
厄介なのは、水分不足だからと言って栄養分の高い水分をあげてしまう場合には、実は植物体の中では脱水が生じ水分は不足になっています。➂の栄養過多です。
➂栄養過多 苗を植え付けた直後に濃度の高い肥料を与えると根が傷みます。いわゆる肥料焼けの状態になり、根からの養分の吸収が出来なくなるからです。
栄養過多の内でも葉の先端、成長点に近い所で葉が内側に巻いている場合もありますので、この場合は肥料を控えて様子を見ます。
また3大栄養と言われているのが窒素(葉の成長、色を促進)、リン酸(結実)、カリウム(根や茎を丈夫にする)ですが、それらの成分不足によって影響が出るので、葉や花の状態を観察して与える肥料を考慮します。
葉が丸まる症状は、多くの病気の場合に見られますので注意が必要です。斑点がないか、シワがないか、よく観察する事が必要です。
⑵葉が立ってしまう 上を向いている
夜間葉が立っているのは正常な状態と言えますが、常に立っている場合には肥料不足が考えられます。肥料不足は結実にも影響するので追肥のタイミングを見計らい適切に行います。
⑶葉が黒っぽくなる ⑷葉が黄色くなる
上の子(写真)は4月18日に購入したナスですが、約2週間後には葉はしおれ、かつ黒く、丸くなっているというトリプルコンボです。心当たりは、室内とは言え、4月はまだ寒かった事、ペットボトル容器に移植する際に根を傷めた事、液肥の濃度が濃かった事です。
葉の色については、葉の色、正常な色ってどんな色 で詳述していますので、ご参照頂ければ幸いです。
⑸葉がしおれる
なすは、一般に肥料食いと言い、併せて水分も多く必要とする植物です。それは大きな葉で根から水分養分をくみ上げて大きな葉で水分を蒸散するからです。
しかし、まだ苗の内の葉は小さく、葉での水分蒸散が、根で吸収する水分量に追いつかないとしおれてしまいますので、水やりをしすぎないようにします。
ここから先は病原菌によって引き起こされる特徴的な症状になります。この場合には専門の薬剤を使用するなどして対処するのが望ましいでしょう。
⑹斑点・シワが出来る
①葉脈の間に茶色い斑点
肥料による斑点。マグネシウムやマンガンが多いと葉脈の間に茶色い斑点で出現します。
②褐色系の斑点
ア)褐斑細菌病の場合 初めは褐色~黒褐色不整形の病斑を生じますが、その後に大きな病斑になります。葉が巻いたり湾曲し花実にも発生します。
イ)黒枯病の場合 はじめに紫褐色円形、後に拡大して淡紫褐色不形成となる病斑を形成します。多発生時に茎や果実に発生します。
ウ)輪問病の場合 葉に褐色円形から楕円形・シワ上輪紋を生じます。
エ)壊疽斑点病 上位葉に多く見られる症状で、葉の表面に紫褐色のエソ斑点を生じます。メロンでも見られ、小斑点が融合して葉縁が黒褐色の壊疽症状となる。
⑹株ごと又は広範囲で葉が枯れる
①株ごと枯れる場合
ア)青枯病 高温期に発生し、株全体の葉が急速に萎凋します。
イ)根腐疫病 根全体が病変し、必ず中心柱が褐変します。
②下葉から上葉の葉の片側が枯れる
ウ)半枯病 下葉から上葉にかけて葉の片側の葉脈にそって黄化、萎凋、楽使用し、片側から始まり株全体に及んで枯死します。
エ)半身萎凋病 半枯病に似ていますが、葉脈間に単黄色の退緑班を生じて片側から株全体に及びます。
⑺カビが発生する
ア)うどんこ病 白いカビが発生し、いずれ全体にうどん粉をまぶしたような状態になります。
イ)すすカビ病 初め、葉裏に白いk日が密生した円形の小斑点を生じ、それから灰褐色に変わります。葉の表面は単黄色の小斑点が生じます。
3 葉の生育と脇芽掻き
異常を訴える葉の症状と、原因が分かりました。ですが、対処をしたつもりでも結実出来ない場合も初心者には多く見られるようです。どのタイミングに問題があるのでしょうか。
⑴脇芽かきと摘心
なすとトマトではよく脇芽かきをすると言います。脇芽を摘むという事は、単に余分な枝に栄養が行くのを防ぐ為だけではなく、風通しを良くすることで、前述したカビや病気の発生を防ぐ目的があります。
基本的には全て摘んで構いませんが、なすとトマトでは最初に摘む芽が異なります。これはその後に行う整枝の仕方が異なるからです。
なすは主枝1本と側枝1本からする二本仕立て、主枝が1本と側枝2本とする3本仕立てで枝を整えます。最初からある(一番花が付いている)枝を主枝、一番花の下の脇芽を伸ばした枝を側枝と言います。
脇芽の摘み方は、午前中の晴れた日に、清潔な指でつまんで良いのですが、皮をむかないように気を付けます。傷からばい菌が入らない様にする配慮です。
美味しい実がなるようにきめ細やかに約束ごとがありますのできちんと覚えておきましょう。
茄子の場合 一番花の下2本の枝を残してその下の脇芽を摘む

トマトの場合 主枝と側枝の間から出ている芽(枝)を摘む

ナスの花は5月になると咲きますので、一番花が咲いたら脇芽を摘みます。トマトの脇芽かきも花が咲いてからとするものもありますが、成長が早いので咲く前から行います。どちらも油断するとすぐにまた生えてきます。
花に栄養が行かず、茎や葉に栄養が行ってしまう状態を『つるボケ』と言います。こうなると結実しないか、結実しても小ぶりで質の悪い実しかならないので注意しましょう。
⑵ 摘心と整枝・収穫
なすの場合、主枝と側枝を伸ばし150㎝位迄誘して支柱で支えます。実は、五本の枝に10~15個なると言われています。実は、この主枝と側枝からつく脇芽を育てる事で更に収穫する事が可能となります。
① 側枝の摘心
ア)側枝に花芽がつきその上に2~3枚の葉がついているのを確認後に葉を2枚残して摘心します。
イ)実の収穫の際には側枝の付け根から2~3枚の葉を残して切ります(切り戻し)。
ウ)この側枝は、更に脇芽をつけるので、その脇芽(側枝)から葉が2~3枚になったのを確認出来たら葉を2枚残して摘心します。
1本の側枝に対して、収穫と脇芽の摘心を繰り返して行きますので、上手な方だた15個以上収穫できるそうです。
是非頑張りたいものですね。
トマトの場合、つるが伸びると脇芽もどんどんつくので結実するまでは1~2週間は摘みます。第5花房が出来た当たりで先端を摘み取りますが、ここでも、花のついた枝の2枚までは葉を残してあげましょう。
本来なら、春本番のこれからの季節は野菜を育てるのが楽しい季節ですが、コロナの影響で巣ごもりされていらっしゃる方も多いと思います。
どうぞお体には気を付けて頂き、また遊びにいらして頂ければと思います。今度はなすの花と着果について記事を書きますね。