はじめに
ミニトマトやナスなどの栽培をしていると『つるぼけ』という言葉を耳にします。
簡単に言うと、花や実に栄養が行かず、葉や茎ばかりが繁ってしまう事で、収穫に悪い影響を与えてしまう状態です。
4月になると、ホームセンターも多くの苗が出始めますが、双葉のないもの、茎が細いもの、既に花が咲いているものなど色々あり、どの苗が良いかわからないことがありますが、このつるボケも早い段階で症状が出るようです。
下の写真は、ホームセンターで苗を購入し、翌日ペットボトルに移植し10日を経過したところです。

イエロートマト

スイートトマト
水耕栽培10日目ですが、購入時点で、イエロートマトには既に花が3つ咲いていて、つぼみが二つありました。
一方のスイートトマトの方はまだつぼみもない様です。
花が4月に咲くのと、5月に咲くのではどちらが良いか、また花が咲いたら気をつけなければならないのはどのような事があるのか、調べてみましたのでご紹介していきます。
1.つるボケとは
トマトの栽培でよくみられる状態につるぼけというのがあります。
つぼみや花が付かないか、ついても数が少なくなり茎や葉ばかりががぐんぐん成長してしまう現象です。
なので、ミニトマト栽培ではこの『蔓ぼけ』をさせない、ということが栽培の要点になります。
通常土壌栽培では苗の植え付けはゴールデンウィーク前後に行い、1週間位は毎日お水をあげます。
十分温かい時期に花が咲けば良いのですが、まだ寒い時期に花を咲かせると、『つるボケ』してしまう可能性が高くなると言われています。
このつるぼけは、下から1番目の花が低温期に咲いてしまうと起こりやすくなるそうです。
何故なら、低温期の開花では受粉が十分にできず結果として実を付ける事が出来なくなり、本来ならば実を大きくする為に吸収された養分が、茎や葉の方へと運ばれてしまうからです。
その為、つるボケの症状は ①先端の茎が太くなる ②葉色が濃くなる ③葉が内側に巻いている という特徴的で見分ける事が簡単です。
2.つるボケの対処法
この蔓ボケにならないようにするにはつぼみや花が咲いている苗を購入するか、小さい苗しか購入出来なかった場合にはつぼみや花を付けるまでポットで育てる事です。
ですが、起こしてしまったらその原因によって対処をしなければなりません。
1)低温期の開花
寒い時期には昆虫が少なく自家受粉が出来ない事もありますので、人工授粉してあげます。清潔な綿棒や筆を使用して花粉を雄しべに付けたり、指ではじいて行います。
2)水や肥料のやりすぎ
定植後の初期に水や肥料を与えすぎると樹勢が強くなります。葉は波打って縮れて見える事もあり、結実しないか、着果しても小さく質の悪い実にしかなりません。
遅い時期では手おくれになる事もありますが、初期であれば灌水量と追肥の量を修正します。
吸収した養分は消費を促す為にこまめに摘葉してストレスを与えます。
また花房にホルモン処理(トマトトーン)をして結実を促進したり、脇芽を1本伸ばして結実させ養水分の発散を試みます。
室内やハウス栽培ならしばらく夜間の温度を高くして養水分を消耗させるのも良いでしょう。
3)脇芽掻き
茎と別の付け根から沢山の脇芽が出てきますので、これをこまめに指で掻き取りそちらに養分が行かないようにします。※ 不衛生なハサミを使用するとそこから病気を誘発するので指で掻きます。
4)摘心
収穫できる花房(3~5段)の花が咲きだしたら、それより上の2~3枚の葉を残して主枝を摘み取ります。脇芽掻きや摘心は実が沢山なる為に必要な作業です。十分行って行い沢山収穫出来る様に頑張りましょう。
3.土壌栽培のミニトマトとの比較
葉がのびのびとし、花びらも勢いがありめしべが良く観察できます。脇芽を書い行けば問題はなさそうです。
一方水耕栽培の方は、葉の縁が縮れ気味で、先端の葉は丸くなりはじめています。花の勢いもなくこのままでは蔓ボケになりそうです。


4.水耕栽培の養分濃度
水耕栽培では溶液の濃度が定められているので説明書に従って作りますが、状態を見ながら時々濃度を変えてもよいかも知れません。
今回苗の段階で養分濃度を高く作ってしまいましたのでそれが敗因かも知れません。
水道水で希釈して2~3日すれば様子が変わると思いますので、また撮影して比較してみます。
その後の成長記録(経過)についてはこちらをご参照下さい。
また手間のかからないミニトマト『レジナ』はお勧めなのでそちらも是非ご参照くださいね。